在庫があると悪いのか?
在庫がない商売の方がいいというけれど、在庫を持たなければいけない商売の場合はどうすれば良いのか?
もちろん在庫が全くない状態は理想的ですが、在庫を抱える商売がうまくいかないということではありません。
むしろ在庫を持つことでメリットもあります。
在庫を持つ場合は、受注してから商品を作成するのとは違い、ある程度商品を見込んで生産するため、商品の価格を抑えることができます。
また、お客様からオーダーが入った際にすぐにお届けできるので、お客様にとっても都合が良いのも特徴です。
在庫を持たないで、受注生産方式の場合は、在庫を抱えるというリスクは減りますが、売上になるまで、時間も要します。
仮に商品単価が安く、代用品もほかのメーカーで存在する場合、わざわざお客様が日数をかけて商品を待ってくださるのかという疑問も残ります。
ですから、在庫を抱える方法と、完全受注生産の方法とで、どちらが優れているのかというと、どちらにも一長一短があります。
原因:消費 と 商品 の発注量があっていない
では、なぜ在庫を増えていくのが良くないと言われているのか?を見ていきたいと思います。
まず、在庫が増える原因というのはいくつかあります。
在庫が発生する原因
・売れると見込んで過剰発注する
・一度売れて、再発注の際に過剰発注してしまい、商品ができた時に売り時を逃している
・売りたい商品しかセールスをしていないためセールスが売りたくない商品がのこる
※ 1-1:売れない商品を売れるようにするにはどうすればよいのか?

・発注ミス
上記にあげたものはほんの一部ではありますが、在庫が増える原因を一言でいうと、「売ることが出来ないもの」が残ってしまう ということです。
この「売ることが出来ない在庫」が増えていけばいくほど、事業の運営にダイレクトに影響を及ぼし、運営が行き詰ってしまう要因ともなりかねません。
それなら、「売ることが出来ない在庫」のでない受注生産方式をとれば、すべての会社がうまくいくのかというと、そうではありません。
先ほども、お伝えしたように、どちらも一長一短の特徴がありますので、一長の側を活かせる在庫の扱い方を考えていければと思います。

POINT1:在庫が増えたからといって売上が増えるということはない
商品の量が増えると、必然的に売上の量も比例して増えるかというとそうではありません。
確かに、人気の商品は量が必要になってくるとは思いますが、やはり商品は市場に出してみるまでは、お客様の確実な反応をしることはできません。
ですから、市場に出す前に、ヤマ勘でひとつの商品に絞って商品を大量に作ってしまうと、
読みが外れてしまった場合、大量に在庫が残ってしまう可能性があります。
かといって、とにかく販売可能な商品がないと、商売が成り立たないからといって、商品をまんべんなく大量に作ってしまっても、結果売れない商品というものは余ってしまいます。
確かに、大量の商品を一度に作るほうが、単価は安くはなるのですが、結局売れない商品が余ってしまうと、単価が高くても適量を作ったほうが儲かったということにもなってしまいます。
ですから、商品があれば売れるということではなく、売りたい商品、売る商品を考察したのち、商品の量を決める必要があります。
去年これぐらい売れたから、今年は一律 1.2倍の商品量でいいな というやり方は避けて頂いたほうが懸命です。
商品量=売上 ではないことを認識して、商品の発注量を決定しなければなりません。

POINT 2:在庫が増えるということは眠っているお金が増えるということ
在庫を購入しても損益には出てこないので、隠れてしまいがちなのですが、在庫が増えると確実に資金は減っています。
現金ではなく掛売り、手形などで購入したとしても、いずれ期日が到来すると支払が生じるため、在庫が増えれば増えるほど、資金は同じように減っていきます。
これは、どういうことかというと、眠っているお金がどんどん増えていっているということです。
眠っているお金が増えるというのは、何にも使うことができない資産です。
例えば、在庫を仕入れるために、 100万円使用していた場合は、ただ 100万円が商品に変わっただけであって、商品を売るしか 100万円を回収することが出来ません。
この 100万円相当の商品で給与を支払うことも出来なければ、経費を精算することも出来ません。
ですから、なるべく眠る資金を作らないようにする必要があります。
それには支払日と売上入金日の調整であったり、商品の納品時期の調整であったりと、在庫を増やすときには、必ず資金繰りも気に留めて、発注しなければなりません。

POINT 3:在庫が売れない間に新商品が発売される
商品が発売されるサイクルも非常に重要です。
今売りたい商品がある状態で、次々と新商品が発売されてしまうと、売る側も買う側も新商品に注目が集まってしまうため、今ある商品の売れ行きは減速してしまいます。
最新の技術が入った新商品が発売されているのに、少し前に発売されたものの方が良いといわれることは少なく、値引き対応などしなければ売れなくなってしまうという現象が起きてしまいます。
また、新商品の発売時期が、おおよそ目処がついているのに、現在の商品の売れ行きが良いからといって、商品の追加発注をしてしまうのも「売ることが出来ない在庫」が増えてしまう要因となってしまいます。
ですから、時期によっては仕入を一旦ストップさせて様子を見るのも方法のひとつです。
そして、売上と在庫、資金のバランスを見ながら、もう少し売れそうだったら、商品の出来上がる時期を確認して発注をかけるのが望ましいです。
その際、時期的に無理やりしないと間に合わないというようなぎりぎりの場合は、追加発注はストップし、今残っている商品を再度売りに出すことをお勧め致します。
焦って商品を追加しても、予定通り納品できない等のトラブルも考慮しなければいけないので、商品発注のタイミングは余裕を持って行えるように環境を整える必要があります。

POINT 4:売れる予定が全くないものがずっと残っている
全て商品が売り切れる事が望ましいのですが、やはり売れ残ってしまう商品も出てしまいます。
値引きをしても売れず、セールのシーズンも逃してしまい、ずっと残っているけれど、売れない商品は残念ながらでてしまいます。
そういった商品もはやり想い入れはありますし、捨てるのはもったいないと思ってしまいますよね。
ですが、売れる予定がない商品がずっと残ってしまっているということは、その商品に対する費用が発生していることとになります。
倉庫の保管料、在庫を管理する人件費、商品の移動の輸送費など、が毎月のようにかかってしまいます。
いつか売れるという希望を捨てきれないというお気持ちも十分理解は出来るのですが、時間がかかればかかるだけ費用は積み上げられていくので、出来る限り早い段階での処分を検討する必要があります。
もちろん、処分するにしても処分費用はかかってしまうのですが、ずっと保管料や人件費を支払続けるよりはずっと安く済ませることができますし、保管に手間をかける時間を、次の商品にかける時間に費やすことが可能になるということもあります。
ですから、処分するだけに費用をかけるのは無駄ではなく、売上が上がる要素とも成り得るので、まずは処分費と、保管費を比べて頂くことをお勧めいたします。

事業再生コンサルタント川口貴弘のコメント

商品が不足していると売上もあげることも出来ませんので、
在庫が増えるということ自体には問題はありません。
ただ、売る時期を逃してしまった、売ることが出来ない在庫が増えてしまうことが頭を抱える問題になってしまいます。
それに加え、売ることが出来ない在庫に、さらに費用と時間を費やさなければいけないというのが、解消しなければならない問題点です。
売りたい時に商品がないと、せっかくの購買チャンスをみすみす逃してしまうという理由で、闇雲に商品を増やすのはお勧めできません。
かといって、計画通りに全てが売れるということも、難しいので、売れなくなった場合、在庫はどのようにするのか?をまずは考えておく必要があります。
ある程度時期を決めて処分してしまう。
毎年大量の処分があるようであれば、発注の量を分割するなど、最初にある程度予測をして、臨機応変に対応できるように幅を作っておくことで在庫の問題は解消されますので、実践していただければと思います。
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